お金と幸福に関する短編小説の続編

キャッシングは真の幸福をもたらすか~続編~

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ギャンブルで幸せを呼び込めるか

おもむろに新聞の広告を取り出し、パチンコ新装開店の広告を見てみた。場所は駅前、家から自転車で10分くらいのところだ。開店時間は朝の10時、今の時間はすでに11時を回っているが、とりあえず足を運んでみた。

新装開店の店には、お金に飢えているお客たちが、まるで蟻がたかるように集まっていた。なぜか1席だけ空いていたので、そこに座ることにした。ビギナーズラックとでも言うのか、最初は当りも出たのだが、その後2万円、最後に3万円をつぎ込んだ。

ご察しの通り、パチンコというギャンブルに挑んで木端微塵に打ちのめされた。ほんの数時間で5万円が吹っ飛んで行ったのだ。その後、競馬と競輪に挑んだが、説明するまでも無かろう、ギャンブルに当初つぎ込む予定だった20万円が飛んでいくだけで、幸福の‘こ’の字も舞い込んでは来なかった・・・。

投資に挑む

ギャンブルですっかり肩を落とした私は、少し頭を冷やしてから株式投資に挑むことにした。もちろん忘れてはいない初心、「お金は真の幸福をもたらすか」の実験であること、これが今回の投資の最大の目的だ。

株式投資にはすこし通じている私。というのも、会社に出勤すると、会社に必ず日本経済新聞が置いてある。少しでもストレスを減らせればと、早めに出勤し温かいコーヒーと共に日経新聞を読むのが私の習慣でもあり、ストレス発散方法でもあった。

そのため株式投資や為替事情に関して、ある程度の知識があると自負していたのだ。そんな私が挑む株式投資。デイトレードは私の性格に合わないことも知っていたので、ゆっくりのんびり構えて投資ができる「長期投資」を手掛けることにした。

軍資金30万円、これに失敗すればキャッシングの返済が残るのみ。幸せどころではなく借金生活に浸らなければならないと覚悟の上で挑んだ。購入した株式は某IT系の株式、金融危機がいまだにくすぶる今は銀行系の株式なんてとんでもない。手堅くいきたいという思いもあって、借金のないその企業の株式を30万円分購入したのだ。

自分が保有する株式は、1分1秒いつでも株式価格が気になってしまう。‘ゆっくりのんびり構えて’いようと思っていたのに、冷静でないこの有様だ。まずは半年間、極力一喜一憂せずに保有し続けた。株価は購入価格を境に上下を繰り返していた。

しかし、1年後、借金のない企業で且つ経営状態も上々ということで注目が集まり、株価は2倍に跳ね上がった。私はそこですかさず売却。30万円で購入した株価が約60万円になって自分のもとに帰ってきたのだ。
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